「機動戦士ガンダムUC episode2 赤い彗星」の感想(ネタバレあり)完全版

2010.11.14 | author: | 開発計画
「機動戦士ガンダムUC episode2 赤い彗星」の感想(ネタバレあり)です。episode1のときと同様に、今回のepisode2も10/30より先行上映、先行配信、メディア販売(上映会場にて)がされていますので……体調が落ち着いてきたタイミングで、前回と同じくPlayStationStoreの配信(HD画質1000円)を利用して観させていただきました。というわけで…タイトル通り、ネタバレありで感想を書いていきますので、ご了承の上読み進めていってください

ここからが、2010.11.14追記分となります。テキストレビューで書いた通り、2つの条件(1:発売日になること 2:購入するか再び借りること)を無事にクリアーしましたので、完全版のレビューとして再公開します。まー…ぶっちゃけ劇中キャプが追加されただけなんですけどね(^^; レビュー本文はほぼ変わっていませんが、段落位置は写真が随所に入ることで、結構変更されて(細かくなって)いますよー。画像ナシの感想はこちらからどうぞ。

機動戦士ガンダムUC episode2 赤い彗星

エピソード1の感想のときにも書きましたが、自分は小説の方は既に読了しております。その上での感想になりますので、原作との比較を交えつつになるかと思います。今回の「episode 2 赤い彗星」のお話は、原作小説で言うところの”ユニコーンの日(下)のクライマックス〜パラオ攻略戦中盤くらいまで ”のストーリーになっています。本編再生時間は、エピ1と同じ約60分(メディアに記載されている収録時間は映像特典を加えたもの)でした。初回のみ60分、以降30分というのもあるかなーと思っていたので、エピソード2も60分ならこのまま全編通してこの時間(最終話だけ拡大の可能性はあるか)なのでしょう。

機動戦士ガンダムUC episode2 赤い彗星

では感想をはさみながら、あらすじをざっと追っていきます。出だしはエピ1の最後、ガンダムへと姿を変えたユニコーンとクシャトリヤとの戦闘からです。クシャトリヤのファンネルの攻撃をかわしつつ破壊しながら、スピードを落とさず肉薄するガンダム(武器はサーベル)。ガンダムの尋常じゃない動きに、全身がサイコフレームで出来ていることに気づくマリーダ(クシャトリヤパイロット)であったが、バインダーをさらに切り落とされたところでジンネマンからの撤退命令を受けその場を引きます。時間にして2分ほどの短い戦闘でしたが、迫力、スピード、躍動感ともになかなかでした。この戦闘では、バナージ視点があえて描かれておらず、コックピット視点の描写があるのはクシャトリヤのみとなります。このあたりは…エピ1からエンディングを飛ばして通して観ると違和感がある(1ではバナージ視点がバリバリあったので)かもしれませんね。また視点がマリーダに偏った所為もあり、福井晴敏のメカくささ(いい意味でね)はちょっと薄れています。そう感じる理由のもう一つは、NT-D発動時…ようはガンダムになった際の異常な動きの説明などが何もないこと。まぁマリーダの「あいつ、全身がサイコフレームで出来ているのかっ!」という台詞から察せなくもない…か。

その後ネェル・アーガマに回収されたユニコーンは、スタッフの手によりコックピットのロック解除作業を受けます。そして、スタッフ一同はパイロットが年端もいかぬ少年(バナージ)であることに驚きます。同タイミングで、袖付きの罠にかかり位置を察知されたネェル・アーガマは、シャアの再来と呼ばれるフル・フロンタルの強襲を受けることに。僚機の3倍のスピードで接近するシナンジュの描写は、シャアザクを彷彿とさせますね〜。そして、リゼル2機の迎撃をかわしながらも、確実にネェル・アーガマの対空砲火数を減らすシナンジュ。この時点では、フル・フロンタルのアップの描写はなく、あくまで赤い彗星に翻弄される連邦軍の視点として描かれています。その分、リゼルのコックピット内の描写をじっくりと楽しめますよ。ただ、エピソード1冒頭のスタークジェガンのようなトリガー周りではなく、全天周モニターのパネルデザインが主ですけどね。
そして、正体を暴かれたオードリー(ミネバ・ザビ)を盾に、エコーズのダグザらはシナンジュに撤退するよう要求します。対するフル・フロンタルは、ラプラスの箱に関連する全てを引き渡せば見逃すと言う。このときのフル・フロンタル、ダグザ、ミネバの駆け引きは、映像としてもよく描かれていると思いました。結果は、双方の要求は却下され戦闘は再開されます。ノーム少佐(ネェル・アーガマ艦載のMS部隊長)もリディをかばって散り、残るはリディのみというところでバナージの駆るユニコーンが登場し、バナージとフル・フロンタルのファーストコンタクトが始まります。

ここで、この巻で2度目の戦闘シーンが5分間ほどありますが、これについては後述詳しく書きますのでここでは割愛〜。結局バナージは破れ、袖付きに拉致される形となります。この戦闘では、エピソード1ほど露骨ではないですけど…やはりバナージ強すぎ?(主に精神面で)と思わせる節がありますね。でもまぁ、ギリギリセーフか…。
一方、とりあえずの危機の去ったネェル・アーガマでは、オードリーとリディのやりとりがじっくり描かれています。双方の相対する”生まれついた家 ”が見え隠れする場面でもあり、今後の二人の行動へと繋がる大事なシーンだと思います。

機動戦士ガンダムUC episode2 赤い彗星

場所は変わり、袖付きの根城”パラオ ”へ。ここでバナージは、フル・フロンタルと直接相対することに。フル・フロンタルはこのシーンでマスクを取るのですが、小説だと言い回しや活字の妙というやつで、多少靄のかかったような感じにまとめられていました。しかし、アニメでは思いっきり素顔を晒していますw
このあたりは思い切りましたね〜。
ただ、ここでも少々バナージくんは強すぎかな。原作の文体からでは、表情の変化とかは読み取り難い故、台詞と前後の文章から察するわけですけど、アニメでは表情や目の力を見て取れますよね。そのアニメで描かれたバナージの表情からは、仮にも軍人でもない素人として敵地に拉致られているにも関わらず、自信と決意の強さが滲み出ているんですよ〜。もちろんアンジェロ大尉の露骨な鋭い突っ込みを受けると、すぐに自信が揺らぐモロさもありましたが…。このあたりは、やはり違和感を覚えました。

また舞台は移り、ネェル・アーガマの作戦室。ユニコーンが連れて行かれたと思われるパラオへの侵攻作戦を練っています…アルベルト主体で; ここでのオットー艦長の描かれ方なかなか良かったですねw 一方の捕らえられたバナージはというと、ギルボア一家、マリーダらと家庭的なお食事を。マリーダの子供の扱いが面白いw その後マリーダとバナージ、二人の繋がりを深めるきっかけのシーンを経て、クライマックスへ。リディはオードリーを地球へ連れて行くことを決意し、バナージはパラオに潜入してきたエコーズの手引きにより、今いる場所(ギルボアの家庭があるこの場所)が新たな戦場となることを知ります。
そして、物語は「episode3 ラプラスの亡霊」へ……。

機動戦士ガンダムUC episode2 赤い彗星 機動戦士ガンダムUC episode2 赤い彗星

機動戦士ガンダムUC episode2 赤い彗星

簡単なあらすじと感想は以上かな。エピソード1では完全にロンドベル視点が省かれていたのに対し、今回は双方に台詞がちゃんとあります。ですが、やはり訴えかける要素は袖付き側に偏ってますね。あとは相変わらず強いバナージへの違和感、アニメ化にありがちな諸所の説明不足は感じるものの、映像化の縛りがあるにしてはよく出来ている方だと思えます。
そして、映像だからこそ有利な点もあります。エピソード2で初お披露目となった、ビームマグナムの演出方法とかがそれですね。1撃が、通常のビームライフル4発分に相当するだけのことはある威力と迫力でした; 親衛隊のギラ・ズールが、火線が掠めただけで誘爆したくらい(絵的にあの距離で被弾扱いは異常…)なので(^^; こういった演出は、文章よりも絵の方が得意ですね〜。

機動戦士ガンダムUC episode2 赤い彗星 機動戦士ガンダムUC episode2 赤い彗星

機動戦士ガンダムUC episode2 赤い彗星

専用の耐Gスーツも、一瞬だけですが映像ならではの描写が。太腿部分のスーツが、エアバックのように膨らむことで衝撃を吸収…いやこのときのユニコーンの挙動から察するに、ブラックアウトを防ぐ(血が下半身に行き過ぎないようにする)ものかな? どちらにせよ、こういう演出はもっとあってもいいかもですね〜。全身サイコフレームで造られたユニコーンならではの”インテンション・オートマチック・システム ”も、絵的にもっと分かりやすい演出があると尚良いでしょう。ただ、モニター類のパネル、ステータスデザインは、ややスタートレックっぽいですが…なかなか綺麗ですね〜。

機動戦士ガンダムUC episode2 赤い彗星

おっと、ユニコーンガンダムの演出についてもですが、今話の主役はどちらかというとシナンジュですので…そっちを書かないとかw 先ほど「ユニコーンとシナンジュの戦闘の詳細については後ほど…」と書きましたので、こちらでシナンジュらしい映像的表現と合わせて紹介していきたいと思います。

機動戦士ガンダムUC episode2 赤い彗星

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このガンダムUCでは、小説版の時点から宇宙世紀のガンダムを意識した言動が随所に見受けられます。劇中のシナンジュの動きもその1つと言えるでしょう。シャアザクが他の3倍で動ける秘密は、スラスター推力にデブリ等を足場にした蹴り出す勢いを上乗せすることなのですが、シナンジュもまた小惑星やデブリを巧みに使い、非常に高い次元での動きを可能としています。もちろん、機体特性でもある脹脛側面の可動式スラスターを使う描写も、スピーディな戦闘の中にちゃんとあるので、思わず1つ1つの挙動を凝視してしまいますw

機動戦士ガンダムUC episode2 赤い彗星

機動戦士ガンダムUC episode2 赤い彗星

肝心のユニコーンとシナンジュとの戦闘は、ビームマグナムでシナンジュを牽制するも、「当たらなければどうということはない!」というフル・フロンタルの台詞の通り、全て巧みにかわされます。親衛隊を交えた戦闘の中、Iフィールドなどを駆使して立ち回るバナージ(ほとんどインテンショナル・オートマチックにより助かっていると思われます;)を遂にシナンジュの蹴りが捕らえます。このあたりも1stガンダムを思い出させますね〜。

機動戦士ガンダムUC episode2 赤い彗星

機動戦士ガンダムUC episode2 赤い彗星

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機動戦士ガンダムUC episode2 赤い彗星

とどめのビームサーベルを切り込むシナンジュを前に、ユニコーンはガンダムへと姿を変えます。「ほぉ、また敵となるか、ガンダムっ!」の台詞とともに切り結ぶフル・フロンタル。そこへ駆けつけたリゼル(リディ機)と共に、シナンジュを追い詰めたかに見えた刹那、クシャトリヤとファンネルに加勢され、バナージは拿捕されることとなったわけです。

機動戦士ガンダムUC episode2 赤い彗星

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そして、このシナンジュとの戦闘により、ユニコーンは次の進むべき道を示すことに……とまぁこんな感じですかね〜。
総じて、映像化の際の欠点は相変わらずあるものの、映像化ならではの楽しみ(グラフィック面だけでなく、シャアの声とかもね)もしっかりあるので、思ってた以上に楽しめる作品になっていると思います。気がかりだったエピソード1からのクォリティの維持も、現状は問題ないレベルだと思いますし、今後も期待が持てます。次回はデルタプラスも登場するようですし、「episode3 ラプラスの箱」(2011年3月発売予定)が今から楽しみですネ。

長くなりましたので、このあたりで〆させていただきます(^^; 「文章ばかりのレビューを〜…」という旧記事の件は、このレビューには合わないので消させていただきましたよ。やっぱり絵が間に入ると見やすいですね; 今回の見所は、やはりシナンジュの動きの演出の仕方です。機会がありましたら、是非映像としてみてくださいませ〜。 では、See you next time!
    

            

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