ガイアノーツ P-01 ガイアマルチプライマー 使用レポート (ポリプロピレン編:RGフリーダムに使ってみた)

2012.05.17 | author: | 開発計画 | ETCETERA
「ガイアノーツ P-01 ガイアマルチプライマー 使用レポート」です。先週入手したガイアマルチプライマーを使って、どれくらい定着性が増すかを試してみたので、そちらの使用レポートとなります。プラモ(ガンプラ)には、様々なマテリアルが使われているわけですが、その代表格をあげてみましょう。外装パーツなど幅広く使われるスチロール樹脂(PS)、粘りがあり関節可動部、フレームに使われるABS樹脂、柔軟性が高くポリキャップで有名なポリエチレン(PE)、最近RGのフレームなどで使われるポリプロピレン(PP)、薄くしても割れにくい(ビームシールドなど)PET樹脂あたりが、昨今のガンプラの主要素材ですかね。この中でポリプロピレンとポリエチレンに関しては、そのままでは模型用塗料が定着せず塗装派泣かせな素材です。今回は、このうちポリプロピレンに対する定着性を確認してみましたので、じっくりどうぞー。

ガイアマルチプライマー

使用したポリプロピレンは、いずれも同じPPランナーをから切断したモノとなっています。また、ポリプロピレンへの定着性を確認するため、比較対象郡を設けました。写真左から、油分だけ取り除いた”未処置 ”状態、模型用のプライマー(下塗り剤)としてはメジャーな”メタルプライマー ”を塗った状態、今回のレポート対象である”マルチプライマー ”を塗った状態です。念のため書いておきますが、本来メタルプライマーは名前の通り金属に対する下塗り剤です。あくまで代用品として使った場合を想定して比較しています。ポリプロピレン用のプライマーではありませんのでご注意ください。
メタルプライマー、マルチプライマー共に原液のまま使用、エアブラシで薄く2回コーティングしています。20分ほど乾燥させた後に、各サンプルにガイアカラーのスターブライトシルバーとアイアンを混色したものをエアブラシで塗装しています。

ガイアマルチプライマー ガイアマルチプライマー

ガイアマルチプライマー

ガンプラでのポリプロピレンのイメージとして、一番印象が強いのは”高い柔軟性 ”です。ポリエチレンほどではないですけど、ABS以上の柔軟性があります。そこで、塗膜の密着性を確認するため、90度ほどぐいっと折り曲げてみました。写真は、折り曲げた箇所を外側から見た状態となります。外側は、樹脂が引っ張られて伸びることにより、密度が薄くなって白化しています。未処置、メタルプライマーを塗った方は、塗料とポリプロピレンとがしっかり密着していないため、塗膜がものの見事に割れ、剥げています; ところがマルチプライマーを塗った方はというと、激しく樹脂が伸びたことにより塗膜にわずかな亀裂は入ったものの、剥げてはいません。しっかりと樹脂と密着している証拠ですね。

ガイアマルチプライマー ガイアマルチプライマー

ガイアマルチプライマー

ガイアマルチプライマー

続いて、折り曲げた箇所を内側からみてみましょう。こちらも外側と同様に、未処置、メタルプライマーのサンプルは、塗膜が割れて剥がれています。マルチプライマーの方は、クラックもなく何事もなかったかのような状態ですっΣΣ(゚Д゚;) すごすぎる…。外側と内側では伸縮率に差があるので、内側に問題がなかったのはそのおかげでしょうね。

ガイアマルチプライマー ガイアマルチプライマー

ガイアマルチプライマー

最後は、ガンプラのような可動キットで問題になる”擦れ ”への耐久性です。使用したのは爪楊枝。その尖った先端を使って軽く擦ってみました。未処置、メタルプライマーは、軽く擦っただけで塗膜に傷が入り、あとはボロボロと簡単に剥がれる一方です。マルチプライマーを塗った方はというと、軽く擦った程度では塗膜に異常は見られませんでした。ただ、エッジ部分はやはり弱いらしく、そこを擦ると少しずつ剥げだしていきます。そこを箇所を中心に擦ることで少しずつ剥がれていきますけど、前者二つのようなボロボロと…というほどではありません。
結論としては、「塗れば万事OK」とまではいかないものの、実用性としては十分だと思いました。擦れることへの耐性に関しては、可動部のクリアランスをとるなどすれば対応可能ですし、プライマーを過信することなく普段どおりの対処をすることで、実用性はさらに高まります。
ミッチャクロンの技術提供を受けているマルチプライマーですが、プラモ用塗料との相性の向上(ミッチャクロンマルチはアクリルラッカーへの適応は普通)もされているような気がします。気がするであって、あくまでも憶測ですよ(^^; この辺りは、ミッチャクロンマルチも使って試してみないとなんともいえませんが、きっと他にもいろいろ違いがあるのでしょう。現時点で、ガイアノーツ側からの検証結果は発表されてないため、機会があればこちらも比較してみたいですね。
尚、冒頭でも述べた通り、メタルプライマーはPP用の下塗り剤ではありません。本来の用途の結果とは異なりますのでご注意ください。

ガイアマルチプライマー

ポリプロピレンへの比較検証が終わったところで、実際に使ってみましょう。PP素材を使っているガンプラ……ということでRGのアドバンスドMSジョイントが生贄ですw 今回は、ストック用で別途確保していたRGフリーダムのMSジョイント全てを塗り塗りしてみます。ちなみにRGのアドバンスドMSジョイントは、ABSとPPの2つの素材を使った複合素材ランナーです。本来は塗装には適さないパーツ郡なので、もし試される場合は自己責任(溶剤浸透による破損の危険があります)で作業してくださいね。
マルチプライマーの使用方法は、検証のときと同じく、原液のままエアブラシで薄く2回ほどコーティングしています。可動するランナーなので、動かしながら漏れのないように吹いていきます。塗った直後は、テラテラとした光沢感のある状態ですけど、乾くと(この時期だと15〜30分ほど)その光沢感もなくなり、塗っているのか塗っていないのか、パッと見ではわかりません(^^; ただし触るとベタっと張り付く状態となっているため、埃が非常につきやすい状態ですorz なので、乾燥させたらさっさと塗装してしまいましょう。
そうそう、使用に際しての注意点ですが、臭いがちょっとキツメなので換気は十分してください。もちろん火気厳禁です。それから、マルチプライマーの用途は、PPだけでなくレジンキャストや”メタルパーツ ”も含まれます。つまり、エアブラシそのものも該当するわけです(゚Д゚;) 使用後は、必ずツールクリーナー(クレオスのツールクリーナーでもOKでした)を使って、しっかりと洗浄してやりましょう。くれぐれも、普段の感覚でそのまま続けて塗装作業に移行しないように……(^^;

RG 1/144 ZGMF-X10A フリーダム

マルチプライマー乾燥後に、比較対象に使った塗料と同じレシピのガイアカラーをエアブラシで塗装。ABSへの溶剤浸透を避けるため、圧低めでうすーく吹いては急速乾燥させてを3回ほど繰り返しています。薄く塗るのは、1回の乾燥時間を早めて溶剤浸透防止以外にも、塗膜が可動の妨げになるのを防ぐ意味もあり、同様の理由からサフレス仕上げとしています。
また、今回RGのアドバンスドMSジョイントを実験に使ったのは、圧力のかかったABSパーツも含まれているので、マルチプライマーを割れ防止のコーティング剤としての役割にもちょっと期待してたり〜。上手くいくと良いのですが…。

RG 1/144 ZGMF-X10A フリーダム

RG 1/144 ZGMF-X10A フリーダム

RG 1/144 ZGMF-X10A フリーダム

一通り、アドバンスドMSジョイントの塗装が終わりました。もう表面的な乾燥は済んでいるので各部の可動を確かめてみましたが、二の腕の連動ギミック取り付け時の剥げを除き、塗膜が剥がれることなく普通に動かすことが出来ます。これは凄い! また、今のところABS部分の割れもありません。ただし、溶剤の完全乾燥にはもう少しかかる可能性もあるため、念のため3〜5日の様子見も必要かな…。シルバー系で塗装すると、ガンダムというより……なんかT1000みたいな骨格フレームの出来上がりですねw
それから余談になりますが、今回のアドバンスドMSジョイント1枚分に使用したマルチプライマーは、7cc強。つまり7ml強ということなので、マルチプライマー1瓶で6〜7枚分のコーティングが可能ということになります。

このマルチプライマーは、一応筆塗りも可能となっていますけど、アドバンスドMSジョイントを塗装する場合は、残念ながら筆ではキツイと思われます; 筆の場合は可動部に入り込みやすい上に、その後の塗装でもABSパーツに溶剤が浸透する可能性がぐっと高まるため、高い確率でパーツ内のABS部分がボロボロに割れてしまいます。
ですが仮にエアブラシを使用しても、100%大丈夫ということはありません。試して、失敗して、上手くいって……積み重ねる経験こそが一番だと思います。機会があればチャレンジしてみてくださいな。あと、ABSやPEへの定着性についても後日レポートしたいと思いますので、しばしお待ちをっ。

RG 1/144 RX-178 ガンダムMk-II ティターンズ仕様

そして、お待たせしているRGガンダムMk-IIティターンズ仕様の続きですが、現在誠意作業中です。いつものゲート処理や、目立つパーティングライン、ヒケの対処以外にも、細かな下処理をしていますので少々時間がかかっております; 一応下半身分のパーツの処理は終え(写真左側のタッパー3つ分)、このあと上半身と武装(右側のタッパー3つ分)の処理に移ります。フレームに外装を取り付ける前に、外装へのシール貼り+コーティングも済ませる予定なので、週末あたりから再開出来ればーと考えています。こちらももう少々お待ちくださいねー。

以上です。
では、See you next time!     

            

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