MG 1/100 MSM-07S シャア専用ズゴック
ジオン公国のMIP社が開発した水陸両用MSである。地球降下作戦が立案された時点で開発に着手していたが、完成に至ったのはゴッグ、アッガイの後となってしまっている。しかし、その完成度は非常に高く、ゴッグでは水冷のみであったのに対し、水冷と空冷の両方を取り入れることで、水中下はもちろんのこと陸上戦においてもザクIIと同程度の機動性を発揮出来る。ゴッグと同様に、高出力のジェネレーターを搭載しており、メガ粒子砲を両腕に内臓しているのが特徴。固定武装は決して多いとは言えないが、当時のジオン公国のMSの中では、ビーム兵器を搭載した数少ない機体の一つであったことから、主武装のメガ粒子砲は非常に強力であった。また、実戦投入後も細かなアップデートを頻繁に行なっており、それがジオン屈指の完成度を誇る機体の所以ともなっているのだが、それを成し得たのは、MIP社が他に同時開発している機体がなかったのが大きな要因と言えるだろう。
S型は、通常機をさらに高出力化等の強化がなされ、機動性、対弾性ともに向上している。後に全てのズゴックはS型と同仕様となり、そのデータは後継機のズゴックEへと受け継がれていく。
このレビューを書いている時点で、すでに5年以上前のキットとなるシャア専用ズゴックです。先行発売された量産型ズゴックのカラバリとして商品化されましたが、ただのカラバリではなく、腕、脚部に伸縮機能を追加、4本爪を再現可能等の＋αもあるので、カラバリ系の付加価値としては、十二分すぎるでしょう。実際キットの中身は、今見ると色あせている部分も随所に見受けられます。しかし、それは裏を返せばパーツ数が抑えられており非常に組み立てやすいという利点にも繋がります。加えて合わせ目が目立たない工夫がされています。
5年前という時間の経過を考慮しなくても、プロポーションは非常に良好、加えて可動性もなかなかと言えます。もちろん、現在の技術でVer.2.0化されれば、もっと大きく伸縮させられたり、膝、肘の連動可動、可動範囲自体も広がると思いますが、これはこれで十分完成度が高いキットだと思います。
今回、ズゴックの立体物を初めて作ったのですが、非常に大きく感じます。その理由はこのレビュー最後でお伝えするとして…一見シンプルに見える外観なのですが、随所に非常に特徴的な箇所がある所為か、間近で見ると想像以上の存在感がありますね。
バストアップを。いつもだと首の可動範囲の確認なんかもしてるのですが…首ないので； ズゴックとしては見慣れた顔なんですけどねぇ…でかいんですよ、とにかくｗ
モノアイは可動します。ただし、全周とはいかず、手前のみでクルクル動きます。そして、動かすには、頭頂部の外装、内部フレーム、モノアイカバーを取り外さないと出来ません；；
後姿を。正面と同じように他ではあまり見受けられない外観をしています。特に大型のバックパックが際立っていますね。もう少し小さいイメージがあるのですが、設定云々ではなく、立体物とイメージとのギャップだと思います。
コックピットハッチも開閉可能です。一旦手前に引き出し、開くようになっていますが、閉じた際にガイド用のスリットが開いてしまってるのはマイナスですね〜。
見た目に似合わず？立膝も出来ちゃいます。パケ絵で見てたので出来るのはわかっていましたが、改めてこの出来なさそうな図体でやらせると、ちょっとした違和感を覚えますね…いや、悪い意味じゃないですよ？
手のようなマニピュレーターはないので、昇降機がハッチあたりについているのでしょう。なんかそんな描写があったような気もしますし…気のせいかも；
腕の部分は、シャア専用に限り伸縮機能が追加されています。どれくらい伸びるかは、右写真（伸ばした時）と比較してみてください。意外と伸びますね。加えて、伸びた一つ一つが可動するようになっているので、若干ですが肘を曲げる補助にもなります。
爪もちゃんと開閉しますよ。一応幻の4本爪を再現できるパーツもキットには付属しています。しかし、爪は8本のみの付属なので、どちらか一方を選択して組み立てるしかありません。
腰の前後のスイングはナカナカよく動きます。2軸になっているおかげでしょう。中央部分には、上下に軟質ゴムのパーツを取り付けるようになっているので、曲げた際にチラリと顔をだします。
横方向の回転も、想像以上に曲がってくれます。左右あわせた回転幅は90度くらいにはなるので、これだけ動いてくれれば十分及第点でしょう。
二の腕と同様に、太股も伸縮します。こちらも伸ばした状態で一つ一つが曲がるようになっているので、膝の可動範囲の補助としても使えます。
このキットは、手に武器を持たせたりってことは出来ないので、腕に内臓されたメガ粒子砲とクロー、頭頂部のミサイルが武装ということになりますね。
爪部分は、キットのままだとあまりにも丸すぎたので、先端を中心に少しシャープ化しています。メガ粒子砲のマズル部分は…ちょっと穴が小さすぎる気もしますね…･。
ズゴックといえばっ、この爪での突きでしょう。せっかく腕が伸びるわけですから、しっかり伸ばして腰も入れてポーズをとらせると決まりますよ〜。
形状、武装がシンプルなので、ポージングの幅が思った以上に狭いのが難点です； 可動性は比較的良好なのですが、こればかりはどうしようもないですね；
立膝をついての射撃？突き？のポーズもとれますが、そう、このズゴック…
蟹股なんですよねｗ 立膝が出来ても、なんか独特な感じがしたのはその所為か。
航行中のイメージで。スタンドが普通に使えればよいのですが…･手持ちのアクションベース1では、穴を開けてのビス止めか、両面テープでの固定だったので、今回はスタンド未使用ですorz
後ろから。足裏が思いのほか派手になってしまいました； バックパックは、下から見れば中のフィンがきちんと見えますよ。
さて、ここからは「MG 1/100 ジム Ver.2.0」に協力を頂いて、シャア専用ズゴックの印象的なシーンを再現してみました。ただ…まぁ、実際にジムのドテッパラに穴をあけるわけにはいかないので、それっぽくですが；
このズゴックと並べるなら、ジムもVer.1.0よりも2.0の方がいいですね〜。ズゴック自体がそこまでアレンジされてるわけではないので、2.0との方がバランスが取れます。
縦の大きめ画像で。ジム…やられる姿が非常に似合ってしまう…。この点に関してはジムの上をいく機体はないような気がします。って、ズゴックのレビューになってないorz
せっかく登場してもらったので、それっぽいツーショットも。ジムのやられっぷりもVer.2.0になって進化してますね。…まさに獲物になる為にVer.2.0化されたような…。
大きめの爪のおかげで…･もぎ取ったジムの頭部を握らせることも出来てしまいます。ただ、爪の可動部が少し緩いので、持たせる角度には若干の制限がありますけど。
この二人？…絵になりすぎです。シャア専用ズゴックは、もちろんガンダムとも対決しているわけですが、ガンダムよりもジムとの方がお似合いな気がしますよ。
まぁ、それだとアレなので、一応ガンダムも登場させましょう……って、ズゴックのレビューからどんどん離れていってる気がするのは、きっと気のせいですよね。
絵的には、お楽しみいただけたと思うので、ジオラマ風はこの辺で終わりにしましょう。ネタ的にはもっとありますが…やってるとキリないですし； ん〜、ジムVer.2.0は、もう1〜2体あってもいいですねぇ。
最後は、ガンダムとの比較です。冒頭で述べた”大きく感じる理由 ”……そう、ほんとにデカイんですよ； ガンダムと比べ、ズゴックの方が頭一つ分全長が高いです。加えて、頭部が胴体と一体化してる所為で胴体ももちろん大きいのですが、四肢もズゴックの方がかなり太いですね。
上横から見ると、厚みの違いもわかります。特に胴体部分が2倍近い厚みになっているので、胸部を最初に組み終えたときに「うぁ、なんじゃこりゃ」と思いました。その時点では、直接比較をしたわけではなかったですから、ただただ「でかい」という印象が強く残りました。こうして改めて比較してみると、大きさを再認識させられますよ。
以上でズゴックのレビューは終了です。最後ちょっと脱線してしまいましたが、お楽しみいただけましたでしょうか〜？
では総評です。組み立ててる最中は、5年の歳月を結構感じさせるキットでしたが、組み終えてみるとそのプロポーションからは古さはまったく感じさせないですね。非常に良好なスタイルだと思います。ただ、可動性に関しては、やはり5年というのは大きいですね。動かしていると、やや物足りなさを感じるときもあります。しかし、一般的なMSとは違い、かなり特異な形状、構造のおかげで、思ってた以上の見劣りしませんでしたよ。実際、結構動いてくれますしね。そして、これだけ古いキットであるのに、色分けが完璧なのには驚きました。今回塗装した箇所はアレンジで加えたもののみですので、そのまま組み立てただけでも十分見れる仕上がりになります。合わせ目が目立たないようにする工夫も随所に見られ、良心的なキットだと感じましたね。
ただ、甘さも感じさせます。当時の技術的なものもありますので仕方のない面もありますが、爪の丸さ、伸縮構造（そのままだとパーツが外れやすい箇所がいくつかあります。まぁ接着してしまえばOKですが）、軟質ゴムパーツの有用性等かな。あと、せっかく4本爪も再現出来るようになっているにも関わらず、爪の本数が8本のみというのはほんと残念です。
しかし、こうした欠点も、Ver.2.0化が進む今だからこそ言えるものもあります。古いキットではありますが、30周年という節目の年に作る1stガンダムの機体として、今でも十分楽しめる1品だと感じました。
