MG 1/100 MS-06J 量産型ザク Ver.2.0 [ ZAKUII TYPE-J ] 完成レビュー

2009.01.26 | author: | MASTER GRADE | 開発計画
1/100 MG MS-06J 量産型ザク Ver.2.01/100 MG MS-06J 量産型ザク Ver.2.0

ジオン共和国で開発されたMS。物資で地球連邦に圧倒的に劣るジオンは、レーダー、電子機器に障害をもたらすミノフスキー粒子の発見を期に、有視界戦闘が主となる新たな機動兵器の開発に着手した。最初は動力を外部に依存する形でフレームの開発からはじまり、最終的には動力源を全て内臓したMS-05ザクの開発に成功する。その後継機として開発されたのが、このザクIIである。これ以降MS-05ザクは、ザクI、旧ザクと呼ばれることとなる。このザクは、ミノフスキー粒子の散布下において、数的優位にあるはずの連邦軍に対して圧倒的な戦力差を見せ付けることに成功した。また、量産機としても成功をおさめた機体で、バリエーションも戦況に合わせ様々なものが開発、製造された。後の1年戦争後期に開発される後継機”ゲルググ”にその座を譲るまで、ジオン軍の主力MSであった。
− J型 −
当初開発されたザクIIは、指揮官機用のS型、空間戦闘用のF型であったが、それらも地球上での運用も可能なよう設計されていた。しかし、地球降下作戦において、地上での戦闘に特化したタイプが必要と判断され、重力下仕様が開発されることとなる。これまで、コロニー、月を生活の場としているジオン共和国にとって地球の重力下でのデータはなかったが、冷却方式の変更、地球上では不要となる空間戦闘用装備の排除による軽量化、システムの変更等により、地上での戦闘に特化したJ型が完成した。また、現行のF型からJ型への装備換装も容易なよう工夫されており、ザクIIの整備性の高さを証明している。ただし、F型は宇宙空間、地上どちらもそのままでの運用が可能だが、J型はあくまで地上での戦闘に特化した機体であり、AMBACK機能を持たず、姿勢制御スラスターもないままでの空間戦闘は不可能である。

ガンダムMk-IIからはじまったVer.2.0化は、遂にザクでも導入されました。アニメにより近いイメージのスタイル、可動性を極限までに高めたキットとして生まれ変わっています。色分けはもちろんのこと、ここまで動くザクはもちろん初で、ある意味PGをも超えたキットといえます。Ver.1.0のザクもプロポーションは良好だったのですが、どちらかというと設定画をイメージした仕上がりになっていました。しかし、このVer.2.0は、アニメの劇中に近い仕上がりになっていると思います。新しいギミックを多数盛り込みつつも、作りやすさも考えられた大変良いキットだと言えるでしょう。

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Ver.1.0に比べ、足先が薄くなっています。それもあってか、脚の長さが若干短くなっています。それでも全体としては上手くまとまっているかと思います。せっかく劇中のイメージに近づけているわけですから、脚が長すぎるのはちょっと…ですよね。

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頭部の形状も良好。頭部に限ったことではないですが、全身のエネルギーパイプの外装にはモールドが追加されています。クルクル回転してしまいがちなので、1方向に綺麗に並べるのはやや大変。頭部の上下方向の可動範囲は及第点と言えるでしょう。モノアイは、裏から蛍光ピンクをあてています。

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そして、首の左右への動きにあわせてモノアイが向く方向へと連動可動するギミックが内臓されています。これは…いいですなぁ。首裏のツマミで動かすものや、頭をあけて動かすものと今までいろいろありましたが、これは最高です。このギミックは、ザクの他のVer.2.0シリーズ、ゲルググVer.2.0、シナンジュへと受け継がれていきます。

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初代では、左側にエンジンらしきユニットが収納されていたのですが、このVer.2.0では、コックピットがスライドし、どちらからでも出られるようになっています?なんでだろう?? ぁ、コックピットハッチは、ちゃんと設定通りの開閉方法をしますよ。

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コックピットのスライドは、バックパックを外した背中内部にあるツマミを動かすことで連動します。ちなみにバックパックは、特殊なポリキャップで背中に固定されています。

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後ろから。腕(肘近辺)が意外とボリュームアップしています。この角度からみると、Ver.1.0のR型の肘のようにも見えるくらい。二の腕なんかも太くなっているので、全体的にややマッシブになっていますね。

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肩関節は、引き出し式なのですが、引き出し方向が水平ではなく上方に傾いている独特な構造です。これによりバズーカなどを両手持ちする際に、ちょうど持ちやすい位置に腕が引き出されるようになります。

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肘関節は、肘の黒いブロックが連動可動するようになっています。Ver.2.0で採用された新解釈ですが、昨今のMGとしては定番機能ですね。

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立膝はなんなくつけます。脚、腰の関節は非常に柔軟に出来ており、完成度が高いです。特に脚は、股関節から足先にいたるまでほんとによく動きます。膝の黒いブロックは、肘同様お馴染みの連動可動ですよ。

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股関節の太股への取り付け位置が、かなり前よりになっています。これにより、股関節のスイング機構がなくとも回転半径を大きくとることが出来るわけです。

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足首、足先もよく動きます。これだけ動いてくれるので、”つま先を立てる”姿勢も楽にとれます。Ver.1.0では考えられない動きですね。脚部のエネルギーパイプは、内部がスプリングになっていて膝の動きを妨げません。

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膝は、2重関節でほぼ180度曲がります。これだけ曲げても、エネルギーパイプのスプリングはしっかりと固定されています。Ver.1.0では、この半分くらいしか動かないにもかかわらず、よくポロポロとチューブが抜けたものです;;

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そして…なんとさらに前傾姿勢をとることも可能です! 極限まで股関節が可動し、それほど広範囲ではないですが腰のひねりも可能なため出来る芸当ですね。

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つま先を真直ぐ伸ばしてやることも出来ます。これだけ前かがみになっているにもかかわらず、見事な接地性です。すばらしいぃっ!!

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この股関節の動きを体現しているのは、サイドスカートに隠されたギミックも関連しています。サイドスカートは横方向への動きだけではなく、後方へとスライドする解釈がとられ(ゲルググVer.2.0等へも引き継がれています)脚の動きを阻害しないよう工夫されています。

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続いては武装を。先ずはザクマシンガンです。シンプルな作りですが、細かいパーツ分割により合わせ目が目立たない工夫がされています。センサーサイト部は、モノアイ同様裏から蛍光ピンクで塗装しています。

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マガジンはもちろん取り外し可能。ただ、Ver.1.0では予備マガジンが付属していただけに、Ver.2.0でないのはちょっと残念ですね。マガジン内部には、きちんと弾丸のディティールが再現されています。

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続いてはザクバズーカ。こちらもマシンガン同様、合わせ目が目立たないパーツ分割で構成されています。センサーサイト、フォアグリップももちろん可動式です。

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なんと、センサーサイトのレンズカバーも開閉可能だったりします。芸が細かいですねぇ。こちらも裏から蛍光ピンクですよ。

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脚部に装着するロケットランチャーです。内部のロケット弾は、Ver.1.0とは異なり3発とも一体成型されています。ただ、これの脚部への固定は、やや不安定なのが残念です。

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最後はヒートホーク。設定では紫のようですが、成型色のままです;; 刃は、ヒート状の発光した状態を再現するか悩んだのですが、無難なシルバーで済ませています。

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もちろんですが、頭部は指揮官用の角突きVer.もあります。ブレードアンテナは、お馴染みのアニメタイプとリアルタイプ両方が付属しています。

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ザクマシンガンの手への保持力は、イマイチです。ですが、両手持ちが多い機体でもありますし、そこまで安定しないというわけではありません。余裕をもって両手持ち出来るため、意外と保持してくれます。

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早速両手持ち状態を。ご覧の通り、肩関節をほとんど引き出さずに両手持ちが可能です。座った時はもちろんですが、立った状態での接地性も比較的高いので安定感のあるポージングが可能です。

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立膝をきちっとつけるおかげで、射撃のポージングの幅も広がります。マシンガンのストックが意外と大きいので取り回しが悪いように見えますが、腕の可動範囲が広いので脇にしっかり挟めます。

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マガジンは、スカートの両サイド、後ろと3箇所お好きな箇所に固定可能です。指関節は、ガンダムVer.2.0等と同じ親指を除いて第2関節が全て可動します。今回は、中指、薬指、小指も切り離して5指可動としています。

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続いてはザクバズーカです。こちらはマシンガンとは違い、片手でもかなり保持力高いです。凹凸がしっかりとはまるため、無理な姿勢でも片手で楽々持たせられます。

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もちろん両手持ちも余裕を持って可能。手首の可動範囲も広いので、脇に挟んだ状態もマシンガン同様楽です。長物をこれだけしっかり保持できるキットって他にないかも…。

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各部関節の保持力もあるので、片手にそれぞれ別の武器を持たせても、肘や肩でへたることもありません。そして、これだけ腰を落としても安定して立たせることが出来る接地性は見事としかいいようがありませんね。

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バズーカは、脇に抱えるだけではなく、肩に担ぐことも可能。長物は、この方がやはりしっくりきますね。この際の両手持ちも若干肩関節を引き出す程度で楽々持てます。

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この角度から見ると、肩関節が上方向に引き出されているのを確認出来ます…たぶん; この効果は地味に効いていまして、通常の引き出し方式だと、肩を引き出すと”なで肩”になりがちなガンプラですが、この角度が付いているおかげで関節を引き出しても肩のラインが綺麗に保たれます。あと、左右のショルダーシールドとスパイクアーマーにも、引き出し機構が組み込まれているのでそちらも一役かっています。

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よくある空中(空間)姿勢での射撃ポーズ。これが綺麗に決まるのも、腰の可動の再現に成功しているからでしょう。可動範囲が狭い割には、非常に表情豊かなポージングが可能です。

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先ほどの肩の引き出し軸、スパイクアーマーの引き出し機構により、ショルダータックルもより自然に。肩のスパイクアーマーも合わせ目がなく、バリをとるだけで綺麗です。

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今度はロケットランチャーです。これだけちょっと惜しいですね。ただ単にスポっとはめ込んでるだけなので、逆さに近づけるとずるずるとずれてしまいます。もう少しカッチリ感が欲しかったところ。

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ロケットランチャーなら、立膝が発射体制としてキマルのですが…膝をついている左足のロケットランチャーがずれてしまっています。

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最後はヒートホークを。専用のジョイントパーツを介して腰に固定できます。Ver.1.0等では、ヒートホーク自体に凸部をつけて固定していましたが、この方がいいですね。

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このヒートホークの保持力は非常に素晴らしいです。凹凸がしっかりとはまり、5指を切り離した状態でも完璧に握れます。ザクマシンガンもこれくらいしっかりしていてもよかったですね…瞬接モリモリで対応は出来ますが。

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本体の可動性が優秀なので、斬りつけるようなポージングも鮮やかに決まります。偶然なのですが、ヒートホークの刃が若干赤みを帯びて発熱しているようにも見えますね。

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指を切り離すことで、より表情豊かに。肩のシールドも動きを阻害することなく、可動範囲の広さで表情付けに一役かっています。

総評いきましょう。これまでのザクからは、格段の進歩を遂げたVer.2.0。基本的な色分けは完璧といっていい仕上がりですし、内部フレームの再現度も非常に高く、スタイルも優秀です。それでいて、これまで以上の可動性を実現したこのザクにはほんと脱帽しました。これだけの再現性、可動性を超えるVer.3.0はないのではないかと思えるほどです。新しいギミックも多数取り入れられていますし、それらが様々な動きに対して見事に作用しているのも見逃せないでしょう。
欠点といえば、唯一色分けをされていない箇所で目立つヒートホーク、ザクマシンガンのスペアマグが付属していない点、ロケットランチャーの固定方法といったところですかね。ただ、他が優秀すぎるので「ぁぁ、そういえばこんなところが」という感じで霞んでしまいます。非変形でシンプルな機体を、突き詰めることでここまで素晴らしいものに出来るんだと思いました。
正直なところ、自分はザクという機体にそれほど思い入れがあるわけではなかったのですが、作ってみてこれほどとは想像だにしていませんでしたよ。この量産型ザクVer.2.0が発売されてから、しばらくザクのバリエーションキットが多数でましたが「何故ザクのバリエーションをここまでだすかな…」とも感じていました。そう、その時点ではまだザクVer.2.0を作っていなかったから。今なら、このキットにバンダイが並々ならぬ自信があったのだということがよく分かります。
発売から早いもので1年半が経過しています。まだ手にしていない方がいらっしゃったら、是非作ってみてください。きっとザクが好きになれる一品です。
    

MSM-04 アッガイ   MS-07B グフ Ver.2.0   MS-06K ザクキャノン   MS-14S シャア専用ゲルググ ver.2.0   YMS-15 ギャン

            

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