かつて文明を滅ぼし、封印された”黒歴史”の最後に登場する機体。その後マウンテンサイクルにて発掘され、ロラン・セアックとともに地球と月の架け橋となる。それまでの機体とは、動力、構造等、全ての面において異なっている。一番の大きな要素は、動力、エネルギーの伝達方式、駆動方式がまったくの別物になっている点であろう。これにより、従来と比較すると駆動系にとられる容積が極端に低くくなり、空いた余剰スペースに火器、推進装置を配置するという独特の機体構造がうまれた。胸部にマルチパーパスサイロ、脚部全体に推進装置のスラスターベーンを配置する等、斬新なレイアウトが特徴となっている。また、∀の真の能力であり、地球圏の文明を滅ぼす元となった”月光蝶”とよばれる、ナノマシンを大量に放出することにより人為的に作られたものを分解してしまうシステムを搭載している。なお、形式ナンバーの「WD-M01」はミリシャ内(呼び名もターンエーではなく、ホワイトドール)のもので、本当の形式ナンバーは「System-∀99」となる。
記念すべきMG100体目となったキット。ここまで続いてきた内部フレームの再現を捨て、デザイナーのシド・ミード(スタートレック、ブレードランナー等で有名)の直線と曲線の見事な調和を再現している。各関節も可動域を広げるために斬新な試みが随所に見られ、プロポーション、可動性ともに素晴らしいの一言に尽きます。
作ってる途中は、足の長さがちょっと気になったのですが、組みあがって見ると「ああ、こんな感じ」と納得してしまいます。それにしても装甲の曲線とモールドの直線が見事に調和してますね。
後ろから。バックパックを持たない数少ないガンダムです。この背中は…そうゲルググを見てるような感じですね。
胸部のモールドもしっかりと作りこまれています。設定画にあった肩のアーマーと胸部が、きちんと一つの曲線で結ばれているのが分かります。髭は大型化してますね。
マルチパーパスサイロです。ミサイルコンテナだけでなく、牛も収納可能です。っと…その牛ですがSS取り忘れてしまいましたorz バンダイのレーザー加工による精密な牛が付属しています。
ハッチをフルオープンの状態。ハッチを開ける際は、背中のあるパーツ(↓参照)を押し込むことで、ペイロード全体が胸側から飛び出させます。
背中の中央にある”日”(ひ ではなく形で見てください;)状の部品が、マルチパーパスサイロを押し出すパーツです。
月光蝶システムのナノマシン放出ベーンです。こちらも開閉してしまいます。放出口はアクセントでガンダムマーカーゴールドで塗装しています。
複雑な形状のスタスターベーンも1枚1枚別パーツで再現されています。しかも…
向う脛に設けられた関節に連動してベーンも可動します。関節を曲げていない左足に比べ、曲げた右足のベーン全体が膝と足首を基点に迫り出しているのが分かると思います。
太もも裏側のベーンにもギミックが仕込まれていまして、膝を曲げると…
ベーン全体が迫り出します。こちらは脹脛裏側とは違って、そのものが裏側にボコっと出っ張る感じになります。
首関節には面白い工夫が見られます。νガンダム等に見られる引き出し式の関節とは違い、、、、、非常に表現しにくいですが、通常は収納されている関節が首”途中”にあります。(どう言えばいいのだろうorz)ちなみに、ターンエーのロゴ?部分はデカールではなくメタリックグリーンで、目のクマドリ部分は劇中に合わせてホワイトで塗装しています。
肩のアーマー部分は、腕の可動を妨げないよう旧1/100でも見られた特殊な可動をしますが、アーマーの一番外側にも旧キットにはない可動部分が設けられています。
肘関節は、可動軸をずらすことで可動範囲を広げる工夫がされていて、見事に効果出ています。これは上手いですね。
掌も特殊なデザインをよく再現しています。加えて、他キットと比べても小さめな手にも関わらず、指1本1本が独立可動します。ただし人差し指以外は、横方向の可同軸はありません。
コックピット内部も比較的再現されていると思いますが、、、ローラ君が一体成型で居座ってしまっているので泣く泣く塗装を…_/ ̄|○
向う脛に設けられた関節のおかげで、歩く姿もより人間ぽくなっています。たったこの一つの関節の追加で(しかも実際の人にはない関節なのに)こうも違うのですねぇ。
ビームライフルも今までのガンダムとはまったく形状が違います。しかし!ギミックもしっかり詰め込まれていますよ。
グリップは、単に引き出し式というのではなく、きちんとカバーを開閉して引き出す形になっています。グリップの形状がちょっと寂しいのが残念ですが;
また、このビームライフルの特徴でもある最大出力用のグリップも、きちんと展開、可動してしまうからお見事としかいいようがありません。
武器の保持力はそのままでもかなり高いです。掌の凸部分の形状がいいのかな? シールドのマウント位置は、スライド式で調整可能です。
ビームサーベルマウントラックは、肩のアーマー裏側に取り付けできます。また、ここにビームライフルやシールドのマウントパーツを取り付けることも出来ます。
関節の可動域はかなり広いので、ポージングも表情豊かです。腕、足はもちろんのこと、腰が前後左右、回転とかなりぐりぐり動くので、そこもいいポイントになっています。
膝は、ほぼ180度曲がる為、立膝っぽい状態も再現出来ます。ただ、膝上に比べて膝下がかなり長いので、通常の立膝は残念ながら無理です;
付属のビームサーベルのクリアパーツは、劇中の細いオリジナルタイプが付属。こういった細かい所まで凝っているのがいいですよね。
ハンマーもちゃんと付いています。もの自体は、ガンダム Ver.1.5等で付属したハンマーと同じかな?
コア・ファイターの変形もばっちりです。形状、モールドもいい感じですね。ちなみに、本体とのジョイント部分は結構しっかりしているので、ポロっと取れたりはしません。
オプションで、平手も付属しているのが嬉しいかぎり。またシド・ミードの設定画にあった胸の白十字?バージョンのパーツもちゃんと付属しています。平手の下のパーツは、ライフル用マウント(右)と、シールドマウント(左)です。
さて、総評ですが、MG100体目を飾るに相応しい出来のキットだと思います。実を言うと、個人的にはガンダム Ver.2.0が来るかなぁ(ベタ過ぎですね;)とは思ってはいたのですが、発表→∀ガンダム→「えぇぇぇ?」な状態だったのですよ、はい。しかし蓋を開けてみたら、プロポーション、可動性、色分け、どれをとっても非常によく作りこまれており、今思うと本当に良い意味で予想外なキットです。紹介中にはふれませんでしたが、色分けもかなりいい仕上がりだと思います。腕や太もものグレーの曲線もきちんと別パーツ化されていますし、敢えて塗装しないと…な部分は太ももの赤い●くらいなものでしょうか。あとは、目のクマドリをグレーの成型色が気になる人はホワイトで塗るとよいでしょう。
ただ、従来のガンダムとは違うデザインだけに、「いまいち、、、」という人もいると思います(昔は自分もそうでした)。ですが、キット内容は本当に素晴らしい出来ですし、見(観)てると「ああ、こういうガンダムもありかな」と思えてしまうから不思議です。というわけで、敬遠しがちな人も100体目でもありますし、是非一度触れてみて欲しいキットです。