初歩と制作上のポイント(墨入れ)

2009.XX.XX | author: | 緋影流プラモデル製作研究所 | 開発計画
プラモデルには、モールドと呼ばれる本来のディティールをある意味デフォルメしたラインがあちこちに刻まれています。こういった部分に黒やグレー、もしくはそのモールドがある部分の色より濃い色を入れてやることで、立体感と強調を演出することが出来ます。また、モールドだけでなく出っ張った部分のつけ根にも同じように処理を施してやることで、同様の効果を得られます。
この作業を”墨入れ ”といい、まったく素組みのキットでも、これを施してやるだけで仕上がりが格段によくなります。行程自体は、モールドや、突起のつけ根に沿ってラインをひいていくだけですし、今は墨入れ用マーカー等も発売され、容易に墨入れを出来るようになっています。
しかし、より綺麗に見せる為には、極力細いラインをひいてあげたり、黒を使うのではなくその部位の色を濃くしたものを使うことで、墨入れをした箇所が強調されすぎて浮いてしまうことを避けたりと、いろいろなやり方があります。 ここでは初心者でも行なえるよう、各種マーカーを主体に紹介をしていきますが、項末では様々な色を選択できるエナメルでの墨入れも載せておきます。
最後に自分の墨入れの基本を。の場合は、下地の色によって墨入れ色を変えるのではなく(あまりにもモールドが煩いものはグレーを使ったりもします)、墨入れのラインの太さで調節します。もちろん溝型のモールドの場合は太さを調整することは出来ませんが、角のつけ根の部分等は下地が明るければラインを細く、濃ければ太めにしています。

墨入れ

今回の生贄? は、「MG 1/100 ジム Ver.2.0」です。その中の足の付け根のパーツを使用して、先ずは紹介していこうと思います。ここには、モールドが少し細か目に配置され、完成後はあまり表に出ない部分ではありますが、ポージングによってはチラリと覗くこともありますので、しっかり墨入れしていきますよ。

墨入れ

最初に使用するのは、”ガンダムマーカー リアルタッチマーカー グレー3 ”です。本来は墨入れ専用というわけではないのですが、筆先が両端に”細いもの ”と”太いもの ”の2種類ついている上に筆先がしっかりしているので、細いモールドでも筆先をあまり痛めることなく作業出来るので愛用しています。ちなみに、”グレー3 ”となっていますが、色はほぼ黒となっています。
別途、筆先タイプの墨入れ用”ガンダムマーカー スミ入れ ふでペン ”も出ているのですが、そちらは筆先が痛みやすいので今は使用していません。ですが、どちらも筆先タイプですので、作業工程は同じになりますよ。

墨入れ

今回のモールドはそこまで太くない、まして密集しているわけでもないので、先細の筆先を使いモールドに沿ってマーカーをなぞらせていきます。
ここでの注意点は、これは墨入れだけじゃなく、塗装や細かい作業全般に言えることですが、必ず両手をくっつけて作業するということです。こういった作業をする時は、パーツを持つ手、筆やマーカーを持つ手がどれだけ安定してるかがポイントとなります。なので、腕や手はテーブルに置いて、さらに左右の指先をくっつけてあげれば、非常に安定します。
人によりやり方はそれぞれだと思いますが、自分はパーツを持つ手の中指と薬指を、ペンや筆を持つ右手の薬指と写真のようにくっつけて作業します。

墨入れ

全てのモールドをなぞり終えました。ここでは、無理に全神経を集中してはみ出さないように気をつけなくても大丈夫ですよ。写真のようにはみ出しても全然大丈夫です。ここからはみ出た部分をふき取っていきます。

墨入れ

リアルタッチマーカーには、”ぼかしペン ”というマーカーがあり、ガンダムマーカーの消しペンのような働きをするのですが、個人的な感じだと中の溶剤は比較的薄めのようで、一気に消えるという感じではないです。文字通り”ぼかす ”ことも出来るので、”ウォッシング ”のような効果を出すことが出来ます。

墨入れ

↑のぼかしペンの溶剤を”ティッシュ ”や”綿棒 ”にちょっとだけ染込ませ、優しくふき取ってやります。写真では塗装の上からというわけではないので、普通の塗料用の薄め液やアルコール等も使えますよ。
今回は無塗装の上から作業していますが、もし塗装済みの場合はどうするか。そのときは、先ほどのぼかしペンをそのまま使い、はみ出た部分をそっとペンで撫でてはティッシュ等にその汚れを吸い取らせることを繰り返してやればOKです。ただし、つや消しで塗装した場合は、黒ずんだ跡が残る場合がありますので、注意しましょう。

墨入れ

ふき取り終わると、ご覧のようにモールド部分にだけインクが残ります。もし、モールドが広範囲になってる場合は、一度に全て墨入れしようとするのではなく、少しずつ入れては修正してを繰り返していくと良いですよ。
これで基本的な墨入れは完了なのですが、赤○で示したような箇所は、溝ではなく”角部分”なので一緒にインクがふき取られてしまっています。
これだと、ここだけ浮いたような感じになってしまうので…

墨入れ

改めて墨を入れなおします。写真では、↓で紹介する”コピックモデラー”を使用していますが、基本的になんでもOKです。同じリアルタッチマーカーでやり直してもいいですし、”ガンダムマーカー スミ入れ用極細 ”等を使用しても出来ます。
ただ、使う道具によっては、ここだけラインが太くなってしまう場合があります。そういうときの修正方法は↓で紹介していきますね。

墨入れ

これで墨入れが完了です。修正した箇所が光の照り返しで見難くなってしまってますが、きちんと同じ太さのラインで墨入れされています。墨入れをしてない状態と比べると、格段によくなっていますね。モールドが多いキットだと、ちょ〜っと大変ですが、がんばって仕上げてやると無塗装でも見栄えが随分と変わりますよ。
”リアルタッチマーカー等の筆タイプ ”は、こういった溝型のモールドに墨入れをするのに非常に重宝します。溝型と一口にいってもその形は様々で、深いものから、非常に細いものまでいろいろあります。これから紹介する”コピックモデラー(ペン先) ”や”ガンダムマーカー スミ入れ用極細 ”ではペン先であるが故に入らないモールドにも、筆タイプはちゃんと墨を入れることが出来ます。

墨入れ

さて、続いては、溝タイプのモールドではありません。ディティールの角にあたる部分に墨入れをしていきます。人によっては、こういう所は合えて墨入れをしなかったり、その部分の色よりも少しだけ濃い色を使ったりと様々です。
自分の場合は、基本的に全て黒系で行なっています。その代わりに、こういう角の部分で下地が明るい色の場合は、ラインを細く仕上げることで強調され過ぎないように配慮しています。
では、細く仕上げる為の工夫を、色々な墨入れ道具を使って試してみましょう。ただし、これから紹介するやり方は、”無塗装の場合”に限ります。塗装した上でやると、塗膜を傷つけ墨入れのインクを伸ばしてしまうので、絶対にやらないようにしてください。

墨入れ

自分がこういう箇所で比較的よく使うのは、”コピックモデラー Black 0.02mm ”です。非常に細いペン先で、買ってしばらくはこれから紹介する修正をしなくても十分細いラインが思いのままに書けます。
ただし、使い込んでくうちに、ペン先が細すぎる故に筆圧に気をつけてもだんだん潰れてきてしまいます。そうすると描かれるラインは当然太くなってしまうので、多少の修正が必要になります。
またこのマーカーは、ある下処理(つや消しラッカー)をした上でないと完全に定着してくれません。ですが、こういう角部分、モールドの溝などは、完成後にそうそう指が触れたりはしないので、そういったことをあまり意識せずに使えますよ。そして、定着しないことを利用して、ラインを細く修正していきます。

墨入れ

写真の筆先は、すでにかなり使い込んでいるので、買った当初よりもペン先が若干潰れてしまっているので、描かれるラインもやや太いです。しかし、それでも”ガンダムマーカー スミ入れ用極細 ”と比べるとまだまだ細いです。
こういったラインを引くときも、しっかり両手を安定させてリラックスして作業しましょう。

墨入れ

これでラインはひき終わりました。これだけでも十分細いように見えますが、下地の色が明るい水色なので、ややラインが強調され過ぎています。
まぁ、「色を黒じゃなく同系色の濃い色を使えばいいじゃない」と言われたらそれまでなのですが、自分は合えて黒を使っての墨入れにこだわっているので、ここはそういうツッコミはなしでお願いしますね;

墨入れ

では、このラインをどう細くするか。自分は、”爪楊枝 ”を使用します。こういう墨入れをする場所は”角”ですよね。対して爪楊枝は”円 ”です。つまり、写真のように爪楊枝を寝かせて角に密着させ擦り取ることで、角からは余計な墨は擦り取られるけど、爪楊枝が触れられない角のつけ根には墨が残るということです。
ここでのコツは、爪楊枝は先になるほど尖っている、つまり円の直径が小さくなることを利用することです。最初は先端ではなく、ちょっと手前の部分で擦り取ってやります。角に墨が残りすぎるようなら、もう少し先端部分に近いところを使って擦ります。円の直径が小さくなるほど、より角の接点に近づいていけますよね。つまり爪楊枝の太さの違いを利用して、残す墨の線の太さを調整するわけです。

墨入れ

ただし、爪楊枝は、ひたすら擦り取ったインクを吸収してくれるわけではありません。木材なので多少は浸透しますが、細い先ですし、擦ってるとすぐに擦った分のインクが伸びて汚くなってしまいます。そこで、こまめにティッシュや不要な紙に擦りつけてこびり付いたインクを落としてやります。
もし、インクがのびて汚くなってしまっても、そのまま擦ってやればすぐに綺麗になります。ただ、成型の関係で、それでも取れない場合がありますので、その際は先ほどの”リアルタッチマーカー ぼかしペン ”等でふき取ってやれば綺麗になります。

墨入れ

太すぎた墨入れを手直ししてやると、こんな感じです。先ほどと比べると、黒い墨入れでもラインが細くなることでそこまで強調され過ぎていませんよね。
この作業は、個人的には慣れたのもあって普通に出来ますが、はじめての人には慣れるまで上手くいかないかもしれません。ですが失敗したとしても、また墨を入れ直して同じ作業を何度でも繰り返せます。あと、爪楊枝を擦りつけるときは、1回では綺麗に取れないと思います。何度か擦りつけてやる(先端の余分なインク落としを忘れずに)ことで綺麗になりますよ。また、いくら爪楊枝でも強く擦りつけすぎると、下地のプラが痛みますのでほどほどの強さでやるのがポイントです。

墨入れ

さて、”コピックモデラー Black 0.02mm ”は、販売店も限定されますし、在庫も常に品薄状態です。これでは入手出来ない人には使えないテクニックじゃないかと言われてしまいます;
ですが、ご安心を。入手しやすい”リアルタッチマーカー ”でも”ガンダムマーカー スミ入れ ふでペン ”でも出来ます。これらは速乾性ではないので、乾くのに若干時間がかかります。なので、乾く前に同様にふき取ってしまえばよいのです。写真では、リアルタッチマーカーを使用して、先ほどと同様に角に沿って線を入れていきます。

墨入れ

筆先タイプなので線の太さがまばらになり、これだけでは綺麗とは言えません。しかし、先ほどと同じ作業をしていくことで、コピックモデラーと同じような仕上がりにすることが出来ます。
ただ、リアルタッチマーカー等を使う際は、注意点が2つだけ。一つは、写真のようにインクが出過ぎることです。つまり爪楊枝で擦ったときに余分なインクが伸びて広がりやすいので、広がってしまっても慌てずに爪楊枝で擦りとってもいいですし、広がった部分はぼかしペンでふき取ってやっても構いません。もう一つは、速乾性ではないとはいえ、あまりにも時間をかけ過ぎてしまうと乾いてしまうこと。なので、↑でも言いましたが広範囲な墨入れをする場合は、チョットずつ入れては修正してを繰り返していくといいですよ。

墨入れ

コピックモデラーのときと同様に、余分なインクを擦り取っていきます。写真のようなパーツの端と隣接してる場合は矢印で示した通り、端に向かってかき出していきます。
しかし、赤○のような所はかき出すことは出来ないので、爪楊枝の先を使ってラインの太さを調整してやります。これまでとは違い、爪楊枝を腹を使って擦り取るのではないので、多少やり辛いですが落ち着いてやればきちんと出来ますよ。もし擦り取り過ぎたとしても、その部分だけもう一度墨を入れ直してやれば、何度でも修正出来ます。 恐らく、これは人それぞれやりやすいやり方があるような気がします。自分なりのコツを上手くつかんでくださいね。

墨入れ

これで、リアルタッチマーカーを使用した太さの修正も完了です。先ほどのコピックでのものと並べてみましたが、見比べて違いが分かるでしょうか? どちらも遜色ない仕上がりになっていると思います。
一応正解としては、右が”コピックモデラー ”、左が”リアルタッチマーカー ”です。違いなんて分からないですよね。たしかに、リアルタッチマーカー等の筆タイプを使用した方が、手間が若干かかります。
しかし、どちらを使っても同じ仕上がりにすることは可能ですので、道具に使われるのではなく、がんばって使いこなしてください。

墨入れ

ラインの太さの修正が出来るようになると、写真のような輪郭線を強調する部分へも適度な墨入れを行なうことが出来ます。
写真では、コピックで既に墨入れを施しました。コレだけ見ると適度な太さのように見えますが、こういった箇所に墨入れを施していくと、全体像として見た場合この太さでは強調されすぎて、墨入れした所が浮いて見えてしまいます。

墨入れ

今回の場合は、爪楊枝の腹の部分で擦り取れますので、これまで同様ラインの太さを調整していきます。爪楊枝の腹のどのあたりを使うか、様子を見ながら位置を変えつつ少しずつ擦り取っていきます。右写真には、角度の違う写真をご用意しています。

墨入れ

太さの修正が終わりました。右写真にコピックで墨入れをしただけの状態を用意していますので、比較してみてください。ちょっと写真の角度が悪いので、修正した方が細すぎるように見えますが、斜めから見ると丁度適度な太さになるよう調整しています。
やや手間のかかる作業ですけど、細く仕上げることが出来れば格段に見栄えはよくなりますよ。墨入れは、基本的に一番色の濃い部分でもあります。つまり目立つ所といえますので、がんばって綺麗に仕上げましょう。

墨入れ

さて、ここからはモデルを変更して「1/100 フォースインパルス」を使用します。先ずは、写真の赤○の溝モールドに墨入れをしていきます。

墨入れ

そして、今回使用する墨入れマーカーは、”ガンダムマーカー スミ入れ用極細 ”です。これをはじめて手にした時は「なんて素晴らしいんだっ」と思ったものですが、コピックモデラーの細さを体験してしまうと、ふ…太すぎと思ってしまいますorz
しかも、他の墨入れペンとは異なり、インクが”油性 ”なのです。そのため、インクが乾くのが早い上に、マジックのような独特の色合いになってしまうのが欠点です。
ですが、入手もしやすいですし、初めて墨入れをする人には一番馴染みやすい墨入れペンかもしれません。

墨入れ

墨入れをするときは、これまで同様普通にモールドをなぞっていくだけです。写真では、一人での撮影(↑は嫁さまが手伝ってくれています)だったのでパーツを押さえる手がないですが、本来はちゃんと安定させた状態で作業してくださいね。加えて、片手での強行撮影の際にはみ出した妙な跡がありますが、気にしないでくださいorz

墨入れ

か…かなりめちゃめちゃな仕上がりになってしまっています; このままではとても見れたものじゃないので、はみ出た部分を直していくわけですが、このガンダムマーカーを使う場合は、はみ出した所の修正方法がこれまでとは異なります。
と、その前に、ガンダムマーカー(油性)を使用して墨入れをする場合は、墨入れし終わったら必ず十分乾燥させてください。これをしないと…修正しようとした際にインクが伸びてしまうので; ただ、油性なのであっという間に乾燥しますよ。 そして、十分乾燥させたら、いよいよはみ出た部分を修正します。その際用いるのは…

墨入れ

消・し・ゴ・ムです。普通の消しゴムで結構ですよ。間違っても”練消し ”とかは使わないでくださいね; あれじゃモールドの中まで消しとっちゃいますから_/ ̄|○ 極々ふつーのです。

墨入れ

あとは、モールドに沿って、はみ出た部分をゴシゴシゴシゴシゴシ……と擦っていきます。すると、擦った部分はきれーになっていますよね。写真の消しゴムが擦った上側と、擦る前の下側では全然違うのが分かると思います。
尚、強く擦りつける必要はないです。密着させて擦れば大丈夫ですよ。

墨入れ

全て擦り終わると、先ほどの酷い有様だったのが嘘のように綺麗に仕上がりました。写真のモールドでは、中央部分だけ太くなってますよね。こういった所を擦る時は、はみ出た部分と一緒にモールドの中まで消してしまわないように気をつけましょう。もしモールドの溝中まで消してしまった時は、またその部分だけマーカーで墨を入れてやればよいです。

墨入れ

次は、溝ではなくL字になってる付け根部分です。これまでと同様に赤○の部分にマーカーで墨入れしていきます。塗り漏れがないように、しっかりラインを書いていきます。しかし、このスミ入れ用極細は、”極細 ”となっていますけどかなり太いです; このままでは見た目綺麗ではないので、修正していきましょう。

墨入れ

先ほどと同じくしっかりと乾燥させてから、消しゴムで太すぎるラインを細くしていきます。このとき、写真のように消しゴムの角を使うとよいです。もし角が丸まってしまってるときは、カッターで切り落として角を作ってあげましょう。
ただし、消しすぎてラインそのものが消えてしまわないように、様子をこまめに見ながら消していきます。

墨入れ

ラインの太さの調整が終わりました。先ほどと比べると、全然違いますよね。もし消しすぎてラインが消えてしまったときは、その部分だけまた墨入れしてやればよいです。
また、こういった角を消す際に、”消しゴムのカス ”が角に付着したままの状態で作業していると、思った以上にラインを消してしまう場合が多いです。消しカスはこまめに取り払いましょう。

墨入れ

他のモールドやダクトにも墨入れををすれば、この部位は完成です。このマーカーは、個人的にはあまり好きではなく、今は滅多に使うことはないのですが、使いこなせば写真のように綺麗に墨入れすることが出来ます。
値段の安さ、入手のし安さ、ペン先の丈夫さ(コピック0.02mmと比較して)から考えると、初心者には使いやすいと思います。入門用に1つ持っておくとよいのではないでしょうか。

墨入れ

最後は、エナメル塗料での墨入れについてです。使用するキットは、引き続き「1/100 フォースインパルス」です。写真は、シルエットフライヤーの機首部分となります。本来は部分塗装をしなければいけない箇所もあるのですが…丁度手ごろでしたので; 部分塗装は、作成を再開したときに施すこととしますorz
ここでエナメル塗料を使う際の注意点を。エナメル塗料はプラを侵食します。侵食することでプラが割れたりするので、基本的に塗装した上に使用することが望ましいです。しかし自分が過去に作ったものでは、プラに直接エナメルを塗ったものも割れたことはないです。実際問題、塗ったら確実に割れるというわけでもなく運の要素もあります。ただ、下地に塗装を施していれば割れることはほぼないので、その上で使用するのが一番かもしれません。

墨入れ

使う道具は、エナメル塗料のフラットブラック(つや消し黒)、エナメル溶剤、塗料皿、スポイト。あと写真には写ってないですが、筆(細めの面相がよいです)とか綿棒も必要ですよ。
何度か申し上げてますが、エナメル塗料も臭いがそこそこします。換気は十分にしましょうね。

墨入れ

先ずは、棒状のもので塗料を泡立てないように(空気を入れないように)しっかり混ぜます。以前は振ってくださいと書いていましたが、振ってだけだと中が十分に混ざらないこともありますので、丁寧に混ぜます。墨入れで使う分には、元々かなり薄めてしまうのでよいのですが、筆塗りする場合には適さなくなってしまうので、混ぜる癖をつけるようにした方が良いでしょう。こういった塗料は、顔料と溶剤が中で分離してしまっているので、使う前は必ずそれらをよく混ぜることが大事です。
混ざったら、筆にちょこっと取り塗料皿にたらします。

墨入れ

そこに、スポイトで取った溶剤を加えていきます。このとき加える溶剤の量は、最初に取り出した塗料の5〜7倍くらいです。だから、かなり薄めることとなりますよ。間違っても塗料原液のまま墨入れしないように。

墨入れ

溶剤を加えたら、よーーーーく混ぜます。どれくらい薄まったかは、右写真で…わかるかなぁ。5〜7倍に薄めるので、ほんとにサラサラになりますよ。

墨入れ

あとは、塗料をふくませた筆を、溝にちょんと置くだけで、すーーーーーっと溝に塗料が流れていきます。しっかりと薄めることで、毛細管現象により溝に沿って墨が流れ込んでいくわけです。写真を見ると、筆を置いた場所から溝に塗料が入り込んでいるのがわかりますよね。ただし、あまりにも溝が浅いと、流れていかない場合もありますよ。

墨入れ

ただし、流れ込む距離にも限りがあるので、モールドが長いものは1箇所から流しただけでは全てを墨入れ出来るわけではありません。
そこで、他の場所からも墨を流していき、全てのモールドに墨が行き渡るようにします。

墨入れ

これでエナメルによる墨入れが完了しました。今回のように溝が深い場合は、ある程度完成させればOKです。しかし、浅い溝の場合は、半乾きだと余分な所をふき取る際に溝の中までふき取ってしまうので、しっかりと乾燥させます。エナメル塗料は乾燥にやや時間がかかるので、丸1日くらいは置いた方がいいでしょう。

墨入れ

では、はみ出た部分をふき取る為に溶剤を綿棒に染込ませますが、そもそもエナメル塗料を使うのは何故でしょうか?
それは、エナメル塗料はラッカーやアクリルで塗装した塗膜を侵食しないという性質があるからです。つまり、それらで塗装した上をエナメル溶剤でふき取っても塗装は剥がれないわけです。
ただし、リアルタッチマーカーでも書いたことですが、通常の塗装は極力ツヤ消しは避けましょう。ツヤ消しは、塗膜に目に見えない小さなブツブツを作ることで、光を乱反射させてツヤがないように見せています。つや消しの上に墨入れを行なうと、この小さな溝に墨入れの塗料が入り込んでしまい、くすんでしまうわけです。
ツヤを消したい場合は、最終的にツヤ消しのクリアを吹くことで調整するとよいですよ。

墨入れ

溶剤を染込ませた綿棒で、はみ出た部分をふき取っていきます。今回のモールドは、深くそこまで入り組んではいないです。なので、写真のようにモールドに沿って溶剤のついた綿棒を数回こすり付けます。
ただし、溝が浅いモールドの場合は、ラインに対して垂直に綿棒を動かしていきましょう。そうでないと溝に流れ込んだ塗料まで一緒にふき取ってしまうことになるからです。

墨入れ

溶剤を適度に擦りつけたら、溶剤の付いていない反対側(もしくは別の綿棒)ではみ出た部分をふき取ります。
もちろん溶剤が付いた側でふき取り続けてもよいのですが、必要以上に溶剤をこすり付けてしまうことで、モールドの内部にまで余分な溶剤が入ってしまったり、溶剤がついたままの場所を触ってしまい余計汚れを広げてしまう場合があります。
なので…ようは”乾拭き ”をする感覚になりますね。せっかく綿棒は両側に綿が付いている(中には…片側もありますが)わけですから、上手く使い分けることで結構重宝しますよ。

墨入れ

乾拭きをしていくと、ふき取られた場所は綺麗にはみ出した部分がなくなっています。このとき、あまり力強く綿棒を押し付ける必要はないですよ。適度な溶剤を最初に付着させていますので、普通に擦ってあげれば綺麗に落ちます。

墨入れ

あとは、同じ要領で他のはみ出た部分も綺麗に落としていきます。
綿棒には、先が丸まったものから尖ったもの、平たいもの等結構いろんな形があるので、好みのタイプを使うといいですね。個人的には、先が尖ったタイプが細かい作業をやりやすくよいです。写真のものは100均で買ったものですが、一応模型用の先の尖った極細もあります。でもまぁ…安くてある程度使えるなら、その方がいいですねw
そうこう言ってる間も、ひたすらふき取っていきます。

墨入れ

全てふき取り終われば、墨入れ完了です。溝は普通にふき取れますが、角部分などは先細の綿棒でちょっとずつふき取ってやるといいですよ。
以上4種類の道具での墨入れを紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか? どの道具にもそれぞれ特徴や欠点がありますが、それを理解した上で使いこなせばいくらでも綺麗に仕上げることは可能です。また、ここに紹介したのはあくまで一例ですし、人それぞれやり方があると思います。そして、何より実際に使って慣れることです。がんばって練習してくださいねっ。
    

            

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