MG 1/100 MS-06K ザクキャノン [ ZAKU CANNON ] 完成レビュー

2009.05.02 | author: | MASTER GRADE | 開発計画
MG 1/100 ザクキャノンMG 1/100 MS-06K ザクキャノン

ジオン公国において、初めて生産された支援MSである。元は、MS-06Jに重力下での対空防御能力を付加したタイプとして設計されたが、対空戦闘の必要性の低さから一旦は見送られた。しかし、連邦軍の”ガンキャノンタイプ ”の運用実態を目の辺りにし、中距離支援MSとして再び日の目を見ることとなる。試作段階では、”MS-06J-12 ”という形式番号であったが、キャノンパック、07系に相当する脚部の補助推進システムを追加装備したことにより、”MS-06K ”という新たなバリエーション機体としての番号が振られることとなる。
追加装備のキャノンは180mmの口径を誇り、破壊力は相当なものであった。キャノン自体はバックパックの右側に装備され、左側には、スモークディスチャージャーを装備している。それに伴い頭部形状も大きく変更され、モノアイの可動範囲を全周型に、補助カメラも追加。また、キャノンをビーム砲へと変更する検討もされたが、ベースとなるザク自体の限界からMS-14Cへと受け継がれることとなる。もう一つ追加兵装であるビッグガンは、バックパック下部に取り付ける形の大型ミサイルポッドランチャーで左右合わせて2基装備可能である。
一年戦争終結後、何機かは連邦軍に接収され、空間戦闘用のスラスター類を再装備しU.C.0087年前後まで運用された。

ザクVer.2.0をベースに作られたザクキャノンです。ベースにしたといっても、パーツの流用率は40%ほどとほとんど新規キットに近いものとなっています。ノーマルザクと比べると、新規追加分でいくつか塗装必須な箇所もありますが、概ね色分けは良好。可動範囲も構造的なもので脚部等の一部が狭まっていますけど、元が非常によく動くので十分及第点のレベルです。
ぶっちゃけ、MSVが元ですしえらくマイナーな機体なんですが、「機動戦士Zガンダム」や「機動戦士ガンダム第08MS小隊」、最新の「機動戦士ガンダムUC」等にも登場する名脇役です。特に機動戦士ガンダムUC」では、トリトン基地のラー・カイラムを襲撃した際に活躍をしており、映像化も決まったことですし恐らく描写されるであろう注目の機体です。

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ノーマルザクと比べ、重厚感がUPしています。しかし、重MSというのではなく、ザクをよりマッシブにした感じですね。色合いと相まってこれまでのMGザクにはない新鮮さがあります。胸部にはエアインテークが追加され、なんとなくハイザックに近い感じもしますね。

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頭部を。動力パイプがない分、かなりスッキリしていますね。モノアイ以外にも射撃用と思われるカメラが、頭頂部に追加されているのも特徴です。首の上下方向の可動範囲は、残念ながらそこまで広くはありません。

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ザクVer.2.0以降採用された、首の動きにモノアイが連動するギミックを搭載。毎度思いますが、これはほんと便利です。今後発売するモノアイタイプには、是非全採用して欲しいものです。

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今回は頭頂部のアンテナは、ラビットタイプを選択していますが、ノーマルタイプの頭部はこんな感じになります。ラビットタイプとの違いは、写真ではわかりませんが追加センサーが後頭部側にもあることです。

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後姿を。こちらもずっしりとした感じが伝わってきます。腕、脚ともにボリュームアップしている分ですね。正面側もメインの動力パイプの取り付け位置がノーマルザクとは異なっていましたが、後ろ側もキャノンの関係上取り回しが違っています。

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コックピットハッチももちろん開閉可能。意外にも複雑な展開方法をします。詳しい開き方は開発計画にて公開しているので、「4/7分」をご覧ください。
ちなみに、このザクキャノンもコックピット位置が左右にスライドします。

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ノーマルザクのようにはいきませんが、ある程度自然に立膝も出来ます。脹脛に迫り出したホバーダクトがある関係で、構造的に膝を180度曲げるのが厳しいですから。

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ツワモノな方であれば、ホバーダクトを引き込み式にしてやれば…かなり曲がるとは思います。それでも、太股がさらに太くなってる分、あそこまで脚を上げることは出来ないので、まったく同じポーズをとらせることは厳しいでしょう。

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腰周りのディティールが変更されてる割には、腰の動きは妨げられていません。きちんと上下にスイング出来ます。写真はありませんが。横方向の捻りも同じくらいですね。

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サイドスカートも後方へとスライドさせることが出来ます。ただ、太股が太くなってる所為か、動力パイプのレイアウトが変更になった為か、ちょっと”スライドし難い ”です。

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肩、腕まわりの可動範囲も概ね良好ですし、腕の外装が変更されていますけど内部構造はザクVer.2.0と同じなので、肘を曲げれば連動でスライドしますよ。

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指は、いつもの切り離しをしているのでよく動きます。第2の手首は一見すると動かないように見えますけど、写真のように中側にクリアランスが設けられているので、装甲は動きませんが中でしっかりと曲がります。

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膝は、前記の通りザクVer.2.0のようには行きませんが、十分曲がる方だと思います。また、ノーマルタイプの膝の装甲が内部にあり、曲げると連動して迫り出してきます。右写真のように、足先の可動は変わらずですよ。

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ここからは、武装の紹介を。先ずはビッグガンです。名前のセンスはどうかとも思いますが…よく作りこまれています。マガジンも取り外し可能で、内部には右写真のようにちゃんと弾丸カートリッジが仕込まれています。
ビッグガンのジョイント部分は、2軸(片方はボールジョイント)により結構自由に動かせます。今回は写真の掲載はしていませんが、収納時はガン部分を後方へ回転さます。加えて、アームバーは上方向に90度折れ曲がるようになっているので、実質さらにコンパクトに畳むことも可能です。br>

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続いてザクマシンガンを。こちらはノーマルザクから変更点は特にありません。ただ、せっかくマガジンドラム内部にディティールが施されているので、そんなに手間じゃないですし今回は塗装してみました。

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バズーカも変更はありません。センサーサイトのカバーが開閉するのも同じです。このバズも非常に出来がよいですね〜。

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ヒートホークも変更はなしです。今回は、エネルギーチューブにゴールドをあしらってみました。

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ビッグガンを装備させた状態です。ビッグガンは、バックパックの下部分にABS摩擦で固定するようになっています。構造的には、バックパックの一部ということになるんでしょうか?

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キャノン部分は、1軸ですが当然のことながら可動します。意外と短いですね。ビームキャノンではなく実体弾になるので、砲身先端にマズルブレーキの穴が開いています。

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口径は180mmとそこまで大型というわけでもないので、中距離支援火器となるようです。やはり立膝をついた状態からの射撃が似合いますね〜。

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もいっちょ正面から。キャノン部分は、メインウェポンなんですし、もう少しギミックが欲しかったかなぁ〜。

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パケ絵風にビッグガンを構えたポーズを。ボリュームが増した体系な上に、どっしり感もあり結構迫力ありますよ。

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J型をベースにしているだけあって、本来は1年戦争当時のザクキャノンではこういう空間戦闘なポーズはないと思うのですが…一応それっぽく。ビッグガンのブリップ部分は、前後にスイングできるようになっているので、どの位置にビッグガンがあってもしっかりホールド出来ます。

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↑に続き不似合いなポーズ?を。一応スタンドジョイント用のアタッチメントが付属していますが、やはり地に脚をつけたポーズの方が似合いますね〜;

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ザクマシンガンの保持力は、相変らずイマイチ。凹凸が微妙にかみ合っていないです。このあたりは改善して欲しかったところですが、されているならR型ですでにされているか;

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標準武装で、キャノン、ビッグガンとあるので、マシンガンはサブウェポンとなるのでしょうか? それに射程を考えると、中距離からさらに接近される場合って感じですね。

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胸部構造が変わったりしていますが、きちんと量手持ち出来ます。やはり、ザクマシンガンは片手よりも両手の方が絵になりますよ。

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空薬莢が飛び散ってきそうなアングルを。マシンガンを両手で構えていると、どんなに外見は変われど「ザクだなぁ…」と思ってしまいます。マガジンドラムは、ビッグガンがあっても腰横、腰後ろへの取り付けは可能です。ただ、腰横に取り付けるとビッグガンの動きを妨げやすいので後ろの方がいいかもです。

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続いてバズーカを。このザクキャノンのポーズをつけていて気づいたのですが、マシンガン、ヒートホークはどちらの手にも持たせられるように凹部がグリップ両側についています。しかし…・このバズーカだけは右手側にしか付いていませんorz

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しかし、キャノンが右肩にあるので、左手側にも凹部をつけて欲しかったです; もちろん、右肩で担げないわけではないですよ。

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といっても、フォアグリップの構造も左手専用となっている位置づけなので、これは仕方ない…か;;

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雰囲気的には左で持たせた方がいいのですが、写真2枚目のように、やはり右肩にしょって両手持ちをさせた方がより似合いますね。

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右肩に両手で持たせるときは、写真のようにバズーカの後端をキャノンからずらしてやる必要があります。肩手持ちなら関係ないですけど。

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バズーカお約束のポーズも、もちろん可能。重力下仕様のザクキャノンでは、ポップアップ射撃(山影などから飛び上がっての攻撃。現代機ではヘリの基本戦術になります)のような感じになるのかな。

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最後はヒートホークです。指を切り離してやることで、第2関節も曲がる分非常に表情豊かです。腰から斧を引き抜くような指先もご覧の通り自然にポージング出来ます。

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中距離支援機なので、ヒートホーク構えてる時点で戦術的には既にアウトだとは思いますが…似合いますねw

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肩の可動範囲も広くとれるので、こういう斬撃のようなポーズをとらせるにはうってつけだったりします。ビッグガンをつけたままでも可動範囲は確保されていますが、近接戦ではデッドウェイトになるので2枚目のように切り離した方が似合いますね。

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そして、股関節の可動範囲の広さは、大きく踏み込むような姿勢を再現するのにも役立ちます。↑の2枚目の写真では分りにくいですが、横から見るとこれだけ大きく踏み込んでいます。

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最後は、ザクVer.2.0と合わせて斧を構えたポーズを。四肢が太くマッチョになってる分、ノーマルザクのようなしなやかさはありませんが、重量級のようなどっしり感はありますね。

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そして〆は迫力のアップです。以上で、ザクキャノンのレビューを終了します。お疲れ様でした〜_(._.)_

では、総評を。「単なるザクVer.2.0のバリエーションキットでしょ?」と思いがちですが、中身は新規パーツの方が多いほどの力の入りようです。実際、仕上がりも満足いくもので、あれ?ザクキャノンってこんなにカッコよかったっけ?と思ってしまう出来です。自分の中のMSVキットのイメージは、旧キットの”寸胴 ”、”可動範囲が狭い ”、”全身に取ってつけたような武装を施している ”という印象が強く、まーーーったく興味をそそらないものだったのですが、このキットはそのイメージを完全に払拭してくれます。ノーマルザクほどではないけど大きく可動し、取ってつけたような武器が活きるプロポーション、そのままでもかなりの再現率の色分けと、非常に充実した内容となっています。MSVのカッコよさを見事に体現していると思います。追加装備に関しても細かい部分まで作りこまれており、標準付属のマシンガン、バズーカとのバランスも取れていて、概ね満足ですね〜。
欠点としては、ザクVer.2.0から引きずる武器保持の甘さ、脚部内部構造の色分けが不十分な点、スペアマグがない点(MSVらしさで言うならこれは是非とも付けて欲しかったなぁ)、動力パイプの組み立て方法が元に戻ってしまった点等ですかね。この中のいくつかでも改善されていれば、もっと評価は上がっただろうと思います。
ただ、非常にマイナーな機体を、こうしてMGでこれだけのレベルでキット化してくれたことに感謝です。このザクキャノンに出会わなければ、自分にとっての”MSVのイメージ ”は昔のままでしたでしょうし。今後も、ザクはキット化され続けると思いますが、是非マリンザクやデザートザク、スナイパータイプ等にも挑戦していって欲しいですね。
    

MSM-04 アッガイ   MS-07B グフ Ver.2.0   MS-06J 量産型ザク Ver.2.0   MS-14S シャア専用ゲルググ ver.2.0   YMS-15 ギャン

            

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